【初心者向け】ボカロP(ボーカロイド作曲家)になるための5つの手順

ボカロPとは

ボカロPの明確な定義というのはありませんが、共通のイメージとして「VOCALOIDを使って楽曲を制作し、動画にして投稿する人」みたいなものがあると思います。

もちろん、曲を作ることや動画を作ることが必須というわけではないので、あくまでも何となく持っているイメージではありますが。

このページでは、0からボカロPを始めたいと思っている人たちのために、ボカロPになる方法について解説したいと思います。

ボカロPになるためには

ボカロPになるために必要なスキル

ボカロPに必要なスキルを上げてみます。

  1. 作詞・作曲
  2. アレンジ
  3. 打ち込み・演奏
  4. ミックス
  5. 動画作成

随分ありますね(笑)

でも安心してください。これはフルスペックのボカロPの場合です。

0からボカロPを始める場合、始めからすべてをマスターしようとすると大変すぎて挫折してしまうことが大いに考えられます。

まずは、自分のできそうなところからやってみましょう。できない部分は他の人に頼むという方法があります。例えば、coconala(ココナラ)では、それぞれを専門にしている人がサービスを提供していますので、お金を払って頼むことができます。また、pixivpiaproなどのコミュニティサイトを探せば無料でやってくれる人が見つかるかも知れません。

もちろん、「すべてにチャレンジする!」ってのが一番良いですが、ボカロPになるために一番大事なことは、モチベーションを落とさないように(挫折しないように)することです。

後に、スキルが不足している場合にどうしたら良いかというヒントも記しましたので参考にしてみてください。

さて、それぞれのスキルについて、それがどんなものなのかまとめてみます。

作詞・作曲のスキル

作詞については皆さん分かると思います。言葉を使って曲に物語や主張などを持たせることですね。

では、曲を作るというのはどういうことでしょう?

「曲を作る」というのは「メロディーを作る」ということです。つまり、歌詞の乗っていない、鼻歌で歌えるようなものを作るということです。

ところで、ポピュラー音楽を勉強した方は、メロディのほかにコード進行というものあるのを知っていると思います。コードとは和音(ドミソのようなもの)のことで、コードが変わっていく(進行する)ことで曲が流れていくというアレです。

厳密に言うと、コード進行を考えることは作曲ではありません。この作業は「アレンジ」の一環として行われます。

アレンジのスキル

アレンジとは、曲の構成を決めたり、楽器の選定をしたり、各パートの演奏内容を決めることです。コード進行もここで決めますが、前述のとおり作詞作曲のステップで決まっていることもあるでしょう。

曲の構成は、「イントロがあって1番歌って間奏があって2番歌ってギターソロがあってサビをもう一回歌ってエンディング」みたいに、曲の流れを決める作業です。

いくつか王道パターンもあるので、既存の曲を研究してみるのが良いと思います。

打ち込み・演奏のスキル

打ち込みとは、コンピュータに音符を入力していく作業のことを言います。

アレンジが決まれば各楽器のパートと演奏内容が決まっているはずなので、それに従いコンピュータに音符の情報を入力していきます。

打ち込みは、ボカロPになるためには必須のスキルです

打ち込みの作業は、マウスと(PCの)キーボードだけでできますが、外付けのMIDIキーボードも併用するのが一般的です。

ここで言う「演奏スキル」とは、ライブ演奏のようなパフォーマンスとしての演奏ではなく、MIDIキーボードを使う技術のことを指しています。

ミックスのスキル

ミックスとは、各楽器のバラバラの演奏を1つの音声ファイルにまとめる作業です。DAWと呼ばれるソフトウェアでこの作業を行います。

ミックスが悪いと

・楽器のバランスが悪い(ベースが異様にでかい、ボーカルが聞こえないなど)
・音の広がりがない(なんかこじんまりしている)
・音が悪い(キンキンして耳障り、もしくは音がモワモワこもっている)

など、いろいろな聴覚上の問題が発生します。いわゆる「音が悪い」ってやつです。

音が悪いと、それだけで聞いてもらえないことがあります。いくら曲やアレンジが良くても、ミックスが悪いとすべてが台無しになります。逆に、曲やアレンジが普通でも、ミックスが良いと、いい曲に聞こえることはザラにあります。それだけミックスは曲の完成度に大きく関わる作業なんですね。

そういう意味で、ミックスのスキルはこれだけで飯が食えてしまうほど専門的で奥の深いスキルです。はまり始めると何日もかかったりして、挫折しやすいスキルでもあります。

ミックスに挫折しやすいのは、専門的で奥が深いという理由以外にも、作詞作曲、アレンジに比べてクリエイティブな要素が少なくモチベーションが保てない、というのも理由の1つになっています。ミックスとは、作り上げられた粗削りな作品を磨いてピカピカにする作業だと言えるでしょう。

もちろん、「ミックスが楽しくてしょうがない!」という場合は、どんどんはまってスキルを高めて欲しいのですが、そう思えない場合は得意な人に任せるか、そこそこのクオリティで止めておくことが、挫折を防ぐために重要になります。

動画作成のスキル

「楽曲を発表する」という趣旨からすると、動画の作成というのは副次的な作業ではあるのですが、今の世の中、個人の作った音楽を聴くのには動画サイトを利用する場合が圧倒的に多いです。

従って、音楽の良し悪しも大事ですが、動画の良し悪しはそれと同等かそれ以上に匹敵する可能性さえあります。

スキル不足はどうやってカバーしたらいいの?

さて、先ほど挙げたボカロPになるために必要な5つのスキルは、フルスペックボカロPになるために必要なスキルです。もし、自分にスキルがない場合は人に頼むという選択肢があると言いましたが、自分で何とかしたい場合はどのようにしたらよいでしょうか。

そのヒントをまとめてみます。

作詞・作曲ができなくてもボカロPになれるか

「ボカロPになりたいけど、自分に作曲(作詞)なんてできないな」と思う方もいると思います。そんな場合はまず既存曲のカバーからやってみてはいかがでしょうか?J-POP、アニソン、ボカロ曲、動揺などなんでもよいので好きな曲を自分なりにコピーまたはアレンジしてみても良いでしょう。有名曲であれば、バンドスコアなども出ているので、参考になると思います。

ただし、著作権についてはきちんと考えないといけません。Youtubeやニコニコ動画では、著作権の存在する曲もアップロードすることはできますが、ニコニコ動画のように著作者の情報を入力することが必須な場合はきちんと入力しておきましょう。また、著作者に対する敬意を表明するためにも、動画の中やタイトル、動画説明などに、誰それの曲をカバーしたといったことが分かるよな情報を一言でも入れておくと良いと思います。

「曲は書けるけど歌詞はちょっと」もしくは「歌詞は書けるけど曲が書けない」という方は、歌詞(曲)を別の人に書いてもらうという方法もありますし、人の書いた歌詞(曲)に自分の曲(歌詞)を乗せる方法もあります。coconalaに代表される外注サービスやpixiv、piaproなどのコミュニティで協力者を探してみましょう。

他にも、クラシックの曲に自分で歌詞をつけたり、洋楽の曲に日本語の歌詞をつけたりと、アイディアは無限にあります。できることからチャレンジしてみてください。

アレンジができなくてもボカロPになれるか

アレンジの勉強は、既存曲から学ぶのが基本です。

ところが、最近の曲、というか2000年代くらいからの曲は、曲よりアレンジ勝負になってきて、やたらとアレンジが凝っているものが多いんです。

よくあるのが、オシャレな曲をいきなり分析して、神業過ぎて何が何だか分からないケース笑

というわけで、新しい曲は最初にアレンジを学ぶには不向きなんです。

一方で昔の曲はアレンジがそれほど複雑ではないので、昭和歌謡、昔の洋楽、ロックなどの曲を何曲か分析してみると、「曲ってどんな構造でできているのか」というのが分かると思います。

始めは古い曲を参考にして、徐々に今の曲、好きな曲の分析を始めていくのが良いと思います。

楽器の演奏ができなくてもボカロPになれるか

コンピュータに音符を入力するためには、マウスや(PCの)キーボードを使って音符を打ち込んでいく方法と、実際に演奏して記録する方法の2種類あります。

PCだけで打ち込みはできるので必ずしも楽器が演奏できる必要はありませんが、願わくば(楽器の)キーボードは使えるとよいです。

とは言っても、パフォーマンスとしての演奏ができなければならないということではなく、入力デバイスとして鍵盤が扱えれば十分です。

鍵盤が扱えると、音楽の理解も深まり、良いことだらけなので、ゆっくりでよいので是非使えるようになってください!

ミックスができなくてもボカロPになれるか

前述のとおり、ミックスはそれだけで飯が食えるほど奥の深いスキルで、曲の完成度に大きく関わる作業でありながら、モチベーションが保てなかったり、挫折したりしやすいスキルです。

ミックスの沼にはまらないために必要なことは、まずは

DAW付属のデフォルトのプラグインを使う

ことです。プラグインを追加し始めると、余計に時間がかかるようになります。ちょうどギタリストがエフェクターを買いあさるのと同じですね笑

基本的にミックスは、コンプレッサー、イコライザー、リバーブ(やディレイ)など基本的なもの、しかもDAWに付属しているもので十分です。

そして、

既存のCDと聞き比べる

ことで近づけていきます。参考書を買い漁るよりも、これが一番手っ取り早く、耳も鍛えられます。

その上で少しずつスキルアップしていけばよいでしょう。

動画が作れなくてもボカロPになれるか

ボカロPの中には自分で絵を描いたり動画を作る人もいれば、絵師や動画師と呼ばれる人たちとコラボして動画を作っている人もいます。

有名ボカロPの動画を見ていると、例外なく動画のクオリティが高く、「ああ、こんな動画を作るのは自分には無理だ」と思ってしまいます。

どうしても、インパクトのある動画を作りたいということであれば、お金を使ってプロに動画制作を依頼するしかないでしょう。その場合は、coconalaなどのサービスを使って外注するのがよいでしょう。

ただ、動画制作は手間も時間もかかるので、制作単価はそれほど安くはありません。

そこで、「動画制作は自分ではちょっと」と思う方は、まずは静止画から始めてみてはいかがでしょう?

実際、多くのアマチュアボカロPは静止画を使って動画を作成しています。

静止画は一枚絵でもよいし、紙芝居でもよいです。画像ファイルを動画編集ソフトに読み込ませ、歌詞など必要な情報を重ねて動画ファイルにするのです。

こうすれば、動画作成の手間を大幅に減らせます。

ボカロPになるために必要な5つのステップ

必要なスキルについては目途が立ちました。そしたら、曲を作って動画投稿サイトで発表したらあなたはもう立派なボカロPです。

とはいっても、投稿にたどり着くまでには、どのようなステップを踏んだらよいのでしょうか?それは

  1. 機材を揃える
  2. 曲を作る・詞を書く
  3. アレンジ・演奏・ミックスをして音源を作成する
  4. 動画を作成する
  5. 動画を投稿する

という感じになります。

1.機材を揃える

ボカロPになるために必要な機材は

  • ハードウェア(PC、オーディオインタフェース、スピーカー、MIDIキーボード)
  • ソフトウェア(DAWソフトウェア、VOCALOIDソフトウェア)
  • 歌声ライブラリ

です。PCを除けば最低限で5万円くらい、そこそこで10万円くらいでそろえることができます。

機材についてはこちらの記事にまとめたのでご覧ください

2.曲を作る・詞を書く

楽曲制作の第一歩は、作詞作曲です。ここは無から有への創造、最も神聖なる作業です(笑)

まずは、詞先(詞を先に書くこと)にするか曲先(曲を先に書くこと)にするかを決めましょう。これは人それぞれやりやすさが違うのでどちらがいいということはありません。

ただし(ここからが重要!)、実際には、コード→メロディー→歌詞の順で曲が出来上がったり、もっと言うと作詞、作曲、アレンジが同時進行で行われるケースも非常に多々あります(笑)

つまり、説明の都合上、作詞、作曲、アレンジという具合に作業を分けましたが、別にこれにとらわれる必要はなく、自分のやりやすいやり方で行うことが一番です。

余談ですが、作詞作曲が分業(別の人)の場合は、「コード+メロディー」が先で、歌詞が後、というパターンが最も多いです。

作詞や作曲の方法についてはたくさんあり、情報もたくさんあるので、YoutubeやGoogleなどで調べて自分に合った方法を見つけてください。

アレンジ・演奏・ミックスをして音源を作成する

作詞作曲ができたらアレンジです。

楽器の選定も基本的には自由ですが、典型的なパターンは

  • ボーカル
  • ギター
  • ベース
  • ドラム

ですね。ギターの代わりにピアノやシンセでも良いし、全部入れてもよいでしょう。

そして、各楽器の演奏内容を決めていきますが、これにはコード進行を決める必要が出てきます。コードとは和音のことで、基本的には曲のすべての小節についています。つまり、イントロや間奏、エンディングにもコードはついていますが、これらはAメロやサビに使われているコード進行をそのまま使っているパターンなどもあります。

アレンジは作詞作曲同様に無限の方法があります。既存曲を研究したり、検索エンジンなどでいろいろ調べてやりやすいものを採用してください。

動画を作成する

次に動画です。せっかく動画を作るのであれば動きのあるものを作りたいところです。ボカロ動画でよく見る、キャラクタが動いている動画は、主にMikuMikuDanceというソフトを使って作成されています。

ただ、MikuMikuDanceを使いこなすのはこれまた1から勉強が必要、というか動画専門の人が使う領域なので、ここに踏み込むのは大変な作業になります。

もう少し簡単にキャラクタを動かすソフトとしては、キャラミんがあります。キャラクタの動きは制限されますが、使いやすいです。

動画は大変という方は静止画に歌詞を表示するという方法から始めてもいいですし、少し工夫するのであればいくつかの静止画を組み合わせて紙芝居的なものにしても良いでしょう。

ただ、静止画に歌詞だと、絵によっては少し寂しいかもしれません。そういう場合は、文字をアニメーションするなど一工夫して飽きないようにした方が良いでしょう。

また紙芝居的にする場合は、画像自体を動かしたりサイズを変えたりして画面に動きがあった方が見ていて飽きません。

動画の作成は、ツールがいくつかあるので使いやすそうなものを選んで使ってください。無料なものでおすすめなのはAviUtilです。無料で使える上に、mp4の作成まで行え、必要な機能は全て揃っています。

動画を投稿する

動画が出来上がったら、投稿サイトに投稿します。Youtubeやニコニコ動画、Instagram、vimeoなどいろいろあるので、できるだけたくさんのサイトに投稿しましょう。

この際、カバー曲をアップする場合などは、著作権が動画サイトでどのように扱われているかなどはチェックしておいてください。投稿自体に制限があることは少ないと思いますが、著作権料を払うために動画に広告が入ったり、ある日突然ルールが変わり投稿ができなくなるといった可能性も否定できません。

動画投稿後に考えること

再生回数を上げる

せっかく動画を投稿しても、再生されないと寂しいものです。TwitterやInstagramなどのSNSで宣伝し、再生してもらいましょう。ホームページを作成するのも一つの手です。

ただし、Youtubeの再生回数の増加については、注意すべきことがたくさんあります。

自然発生的にいろいろな人が動画を再生する場合はおのずと再生回数は増えていきますが、人為的に再生回数を上げようとしても、Youtubeにバレて再生回数は増えません。ペナルティを食らう可能性もあります。同じ端末やIPアドレスからは一定時間置いて再生しないとカウントは増えないようになっているようです。

従って、再生回数を増やすのであれば、正攻法、つまりいろんな人に再生してもらうことを考えましょう。

ところで、再生回数も大事ですが、Youtubeの場合は、「クリックされるか(インプレッションのクリック率)」と「どれだけ長く動画を見たか(視聴時間)」も大切になります。つまり、検索結果に表示されてもクリックされない動画や、クリックされてもすぐに停止される動画は検索順位が下がってしまうのです。

こういったことを考えると、再生回数をむやみに上げることよりも、サムネイルや動画説明どのように見えているか(クリックしたくなるような動画になっているか)の方が重要だということになります。

また、視聴時間を長くするためにも、できるだけ飽きない動画(音楽)を心がけること、自分や知り合いが視聴する場合は必ず最後まで見る、などの工夫が必要になるでしょう。

より良い作品を作る

ここまで基本的なことを学びましたが、より良い作品を作るためのヒントをいくつか載せておきます

人にレビューしてもらう

人の意見を聞くと、自分では気が付かなかったことに気づいてもらえるので、確実に作品が良くなります。

投稿前であれば、これから投稿する作品を修正してより良いものにできる可能性があります。家族や友人に聞いて意見をもらいましょう。

投稿後であれば、次の作品を作る際のヒントが一つ増えることになります。動画のコメントなど、いろいろ参考にして次に生かしましょう。

人に意見を求めるときは、どこか悪いところがないか、もっとこうした方がいい点などないかなど、批判的に聞いてもらうのも良いですし、何も考えずに聞いて思った感想を聞くのも良いと思います。とにかく何かをつかんで帰りましょう笑

そしてレビューをもらったらお礼は忘れずに。また次の作品でも快くレビューしてくれるかもしれません。

いろいろな作品を研究する

世の中にあるいろいろな作品をとことん研究しましょう。好きな作品ばかりでなく、人がいいと思う作品や、普段あまり聞かない作品なども。

ただ聞いているだけなのと、分析することを目的に聞いているだけでは、得られる情報量が格段に違います。自分にないものをどんどん吸収してください。

また、作品を批判的に聞くのもやってみるとよいです。「自分ならここはこうするのになあ」と思えれば、新たなアイディアが生まれる一歩手前です!

パクリは禁物

パクリは禁物です笑

例えば車のデザインや食品、商標やロゴなどにおいて、いろいろなものがパクられ、時に裁判になって来ました。知的財産権などという言葉もあったりと、世の中はパクリに厳しい一方、パクリによって発展してきたとも言えます。

このように、どこからが「パクり」なのかという線引きをすることは難しく、パクリをすべて否定してしまうと新しいものは生まれません。

何がパクリなのかをいろいろ気にするよりも、「アイディアをいただく」「ヒントをいただく」など間接的に使わせていただく気持ちを持ち、常に謙虚な姿勢と、作者への敬意は忘れないようにしましょう。

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